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表具・表装(掛軸・修理・修復)を行っています。大阪市の表具店、春榮堂の三代目です。
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環境省 奄美野生生物保護センター 壁装作業その1

野生生物保護センター

この度、奄美野生生物保護センターの壁画修復作業をお手伝いする事が出来ました。

環境省の奄美野生生物保護センターは、奄美諸島に生息する希少な野生生物や

奄美固有の生態系についての解説や、野生生物の保護増殖事業、調査研究などを

総合的に行うための施設です。

完成後 斜め上から

修復作業をされたのは、エントランスホール正面にある壁画で、

画家バード加代子先生の作品【花虫戯曲】です。

左側の窓からの強い日差しが壁画を傷める事になり、

バード加代子先生、自らが修復作業をされる事に成りました。

※紫外線対策ガラスの交換と壁画修復作業後の画像です。

完成後 正面

壁画は幅5m42cm、高さ3m27cmと、とても迫力の有る大きさです。

鹿児島県天然記念物のイシカワガエルや奄美特有の動植物が描かれています。

その描き方は、一切の道具を使わずにキャンバスに指でオイルステイックを塗り、

ソフトパステルを擦り込む工程を10数回~20回繰り返しながら

色調を創りだす【ブラックキャンバス&パステル】という画法です。

試行錯誤を繰り返したのちに生まれたバード加代子先生のオリジナル画法です。

実物で見ると、なお温かみが感じられる素晴らしい作品です。

奄美野生生物保護センターは、入館無料です。

奄美大島に行かれる方には、是非ともご覧頂きたい作品です。

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環境省 奄美野生生物保護センター 壁装作業その2

作業前

キャンバス(作品の布)自体は、先生が相生市のアトリエで修復をされました。

奄美大島では保護センターの近くの公民館を、作業場としてお借りしました。

アトリエから奄美大島へはキャンバスを一枚一枚、不織布で保護し直径25cmの

筒に巻いて厳重に梱包して輸送されました。

それでも、とても繊細なパステル作品は、輸送時の衝撃で影響を受けます。

先生ご自身でパネル板にキャンバスを仮留めし、絵の繋がりを確認しながら

細部の修復作業を行われました。

緊張器取付け

ここから、パネル板にキャンバスを張り込む作業になります。

とても特殊なキャンバスは、上下方向に強いテンションをかける必要が有ります。

その為に、特別に製作したキャンバスを挟む金具を取付けます。

緊張器

キャンバスを挟んだ金具に緊張器を取付け、キャンバスを引張ります。

緊張器

一枚一枚のキャンバスにテンションをかけ、また全体の絵の繋がりを

考え位置調整を行いました。

キャンバスの収縮具合を見る為、一晩中この状態でテンションをかけ続けます。

上下 釘打ち作業

キャンバスの緩みなどの問題が無かった為、緑の釘で仮留めし

上下にアルミフラットバーでキャンバスを固定します。

アルミフラットバーは、真鍮製の釘で取付けます。

縦 釘打ち作業

キャンバスの縦は、黒色の真鍮製の釘で固定します。

キャンバスを傷めないよう、樹脂製の金槌で打ち込みます。

パネル左に、5cmピッチの釘が見えます。

下部 化粧板 取付け後

パネル下部に、化粧用の黒色アルミフラットバーを取付けます。

縦に打った釘にも、キャンバスに合わせた塗料を塗り、釘も見えなく成っています。

これでキャンバスの張り込み作業は終了となります。

環境省 奄美野生生物保護センター 壁装作業その3

張込後 修復作業

奥で作業をされているのが、バード加代子先生です。

私どもがキャンバスの張り込みをしている間も、細部の修復をされています。

パステル

先生が使用されている、パステルや道具です。

作品搬入

公民館から奄美野生生物保護センターへの搬入作業です。

立掛作業 一枚目

一枚目、二枚目と順次、搬入と設置がされて行きます。

立掛作業 二枚目

画像の掲載はしておりませんが、沢山の職人さんや関係者の方々により

設置作業は行われました。設置作業の一部も、お手伝いをさせて頂きました。

立掛作業 四枚目

バード加代子先生が作業台に載って、最後の調整をされています。

完成後 正面

全てのパネルが設置され、間接照明が当てられた作品に陰影が付きました。

この後、作品保護の為、強化ガラス製の安全柵が設置され修復作業が終了となりました。

この度は関係者の皆様と、ご縁が有り大変貴重な経験が出来ました。

この壁画修復作業に関われた事に感謝し、これからも精進して参ります。

環境省 奄美野生生物保護センター 壁装作業その4

完成後 正面

    ●壁画作品のご説明と、バード加代子先生のご経歴●

           【花虫戯曲】
       私を魅了してやまぬ奄美の自然。
       亜熱帯特有の不死身とも思える生命力。
       急速に自然破壊が進む今、
       私達に意識の改革が迫られる。
       守っていかなければならない
       自然環境と生物達。
       しばし、そんな生きものたちの奏でる曲に
       耳を傾けることができたなら、
       という思いが壁画になりました。
                 2000年4月26日 記

         【バード加代子】
  1968~1973 日本画家 三好基貫に師事
  1973~1978 二紀会栄誉会員 伊川寛に師事
  1979 San Francisco美術大学
  1982 California芸術大学BFA
  1984 福岡/オークランド姉妹都市委員会後援 福岡市美術館
  1992 東京銀座文芸春秋画廊-Black Canvas & Pastel-
      朝日放送主催ABC Gallery個展-2000年まで各年
  1995 東京都美術館AJAC展招待出品
      大阪日動画廊個展 沖縄県浦漆市美術館個展
      鹿児島県奄美文化センター「奄美の鼓動」個展
  1996 第8回本場奄美大島紬原図デザインコンテスト入賞
  1998 東京銀座日動画廊 第3回昭和会展入選
  2000 環境庁奄美野生生物保護センター壁画「花虫戯曲」
  2004 兵庫県相生市雨水ポンプ場タイル壁画「潮音鼓動」
  2008 バレホ市役所ホール壁画完成、Vallejo California
  2010 鹿児島県奄美市田中一村記念美術館個展
  2014 環境省奄美野生生物保護センター壁画本修復

環境省 奄美野生生物保護センター 壁装作業その5

立掛作業 四枚目

この度の、バード加代子先生の壁画修復作業が【神戸新聞】で掲載されていました。

『奄美の大壁画、里帰りで修復し再び輝き 相生の女性画家』

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201404/0006905947.shtml

壁画修復前の画像も掲載されてます。是非ご覧下さい。

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